2015年5月16日土曜日

Tour to Trinity College -Book of Kells-

アイルランドの最古の大学、1592年にエリザベス1世によって創設されたトリニティ・カレッジ。
ここには美しい装飾本が眠っている。
それが8世紀に描かれた、新約聖書の『ケルズの書』(Book of Kells)である。
仕事で、プライベートで、訪れた回数は15回を超える。
せっかくなので、集積させた知識を今回はここに残しておくことにする。
(基本、何も見ずに暗記した情報を書いているが、あとで見直して付け加えたことはイタリック体で付け加え。)


〇『ケルズの書』
8世紀、スコットランドのアイオナ島で修道士たちが書き始めた。しかしバイキングの襲来を恐れ、アイルランドのミーズ県にあるケルズという場所に移され、そこで完成されたとされる。4人の修道士たちが描き、大きさは縦33cm、横24.13cmで全部で340枚あり、礼拝用に美しい装飾が施された。のちにダブリンのトリニティ・カレッジに運ばれ、保存環境が整った。トリニティ・カレッジの旧図書館では、4つの新約聖書(マルコ、ルカ、ヨハネ、マタイ伝)のうち、2つを約3か月ごとに展示している。
私が最近訪れた時(今月上旬)は、つい3週間前に入れ替えが行なわれたということで、マルコ伝とマタイ伝が各見開き1ページガラスケースの中にあった。
 
―マルコ伝(13章32節-14章6節)
・死の予告をイエス自らがするところ
・過越の祭りの2日前を描く
・”vigilate(=ラテン語でwatch)という単語が書面中央で強調されている。鳥も描かれ、「見る」ことに重きが置かれている場面。
・十字架へのはりつけ場面につながるページ。
 
 
―マタイ伝(27章38節)
 'TUNC CRUCIFIXERANT XPI CUM EO DUOS LATRONES’(ラテン語) 
 ~ここにイエスと共に2人の強盗、十字架につけられ~
虎のはく息:キリストを象徴し、1匹の虎にもワインの赤(キリストの血を象徴)が到達。
観衆:左向き。彼らが見ている左ページは、白紙。ケルズの書にはキリストの十字架はりつけシーンを描いたページはないが、この左の白紙のページこそがはりつけシーンを想定。観衆ははりつけを見ているとされる。

※Book of Kellsの写真は撮影禁止となっているため、ネットより転用。
 
牛の革の紙に、アイルランド古来の書体「アンシャル体」で描かれる。
本書の始めと終わりは欠けているものの2930ページを除いてほぼ全てのページに装飾がある。顔料は、白が石膏、青は藍染に使われる藍たで(植物)、緑は銅の錆、黄は石黄、黒は油煙(つまり、すす)等、自然にとれる植物や鉱物等で着色されている。


〇ロングルーム
奥行きが約65㍍、12㍍、高さ14㍍あり、世界で最も美しい図書館と言われている。
その空間に入った瞬間、思わず息をのんでしまう。何度来ても、やっぱり壮観!
よくお客様を連れていくと、「まさにハリー・ポッターの世界!」と驚かれる。
それもそのはず、この図書館からインスピレーションを得たとか?その他にも、映画スターウォーズにも登場した(らしい)。
Trinity CollegeのLong Room

同カレッジの著名な卒業生14名の胸像が並び、その中には『ガリバー旅行記』の作者ジョナサン・スウィフトやノーベル文学賞受賞のサムエル・ベケットも含む。
また、ちょうどジョナサン・スウィフトの向かい側には、アイルランドに現存する最古(15世紀)のハープBrian Boruのハープが頓挫する。これは、国章のモチーフとなり、アイルランドで生産される1ユーロ、2ユーロコインの裏に描かれていたり、公文書に刻印されている。かつてハープは吟遊詩人(ステータスの高い職業)の象徴として用いられた。Brian Boruはアイルランド最後のハイキングとして伝説に名を残した人物。2014年は彼の没後1000年の節目となった。なお、誰が所有していたのか、等詳しいことは不明。名称の由来となっているBrian Boruとの関係も明らかになっていない。
 
そこはまさに映画の中の世界!

アイルランド最古のハープ

〇アイルランド共和国樹立宣言書
2500枚刷られたうちの一枚で、1916年のイースター蜂起の際に中央郵便局(GPOにてピアースによって読み上げられた。なお、独立は1922年にようやく果たされた。

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